こんにちは、中根です。
去る9月5日、渋谷の松濤倶楽部で行われた、MHDさんの試飲会に行って参りました。

タリスカ、アードベッグ、グレンモーレンジから、ゲストを招いての試飲会でした。
アードベッグ、グレンモーレンジは最高蒸溜責任者のビル・ラムズデン博士直々のセミナーでしたので、そちらで得た最新情報をお知らせしたいと思います。

まずアードベッグです。会場は宇宙をイメージした薄暗く幻想的な会場でした。

アードベッグのマスコットキャラ、ショーティーのぬいぐるみを小脇に抱えながらビル・ラムズデン博士が登場すると、先ずこのショーティーについて触れました。
「長年、アードベッグのマスコットとして活躍してきましたショーティーですが、そろそろ歳で、甥のジャスティーがその役目を引き継ぐ事になりそうです…」
引退と聞いて少し寂しいですが、ジャスティーの勇姿も早く見てみたいですね。
ちなみにアードベッグ・ガリレオにはショーティーのとてもお茶目な姿が箱やボトルにも描かれています。

このアードベッグ・ガリレオは、去年限定リリースされたもので、宇宙ステーションにアードベッグの樽材など熟成に関わるものを持って行くという試みを記念してリリースされたものです。（詳しくは過去の記事を参照してください。→アードベッグ・ガリレオ）
そして来年、その宇宙に持って行った物がついに地球に帰って来るそうです。
ラムズデン博士も大変楽しみにしているそうですが、
「このシミュレーションで、無重力空間の方が、熟成が早まりいい作用を生むという結果が出てしまったら、無重力の熟成庫を作らなければいけなくなる…」
と冗談混じりに困った顔をして会場を沸かせていました。将来本当に宇宙で熟成されたウィスキーが出てくるかも知れませんね。

そして今年発売されたアードボック。
これは、アードベッグに「塩気」を与えたいと言う発想から生まれたアイテムだそうで、色々試行錯誤した結果、より海に近いサン・ルーカル・パラメーダという地域で作られるマンサニージャ・シェリーの樽をチョイスしたと言うことでした。
熟成年数の表記はありませんが、中身は9年、10年物をベースに11年物が少し入っているそうです。（テイスティングノートはこちらへ→アードベッグ・アードボッグ）

さらにラムズデン博士は来年リリース予定のアイテムついても教えてくれました。
「今回のセミナーのように世界各国を回っているとアードベッグのファンから、過去に出たあのアイテムはもう作らないのか？とよく質問されます。今回はそんな言葉受け復刻版という位置付けのアイテムになるでしょう。ヒントは宇宙です。」

「復刻版」に「宇宙」うーん、あれかな？…ともあれ来年が楽しみです。

 

続きましてグレンモーレンジ。

会場のイメージはサファリ。グレンモーレンジのマスコットキャラ、キリンのジェラルドの大きいぬいぐるみがありました！アードベッグのショーティーに比べるとジェラルドの知名度は低いですが、このキリンのキャラクターはグレンモーレンジのスコットランドで一番ネックの長いポットスチルに由来しているそうです。因みに博士は自宅で「モーレンジ」と名付けられた猫を飼っているそうです。

グレンモーレンジについても、更なる新しいアイテムの構想が2つあり、かなり奇抜なものらしく、「失敗に終われば首を覚悟しなければいけない…」と冗談とも本気とも取れる面持ちで話していました。
恐らくその一つは、プライベートエディション・シリーズのようです。
来年もプライベートエディションのリリースが決定しており、名前も「コンパンタ（Companta）」とするそうです。
「コンパンタ」とは英語で言うところの「フレンドシップ（Friendship」」を意味するゲール語で、イングランドと争っていた最中にフランスと結んだ「古い同盟」に由来しているそうです。
と言うことは、フランスで生産されているワインやブランデーの樽で熟成されたアイテムのリリースになるのではないでしょうか。グレンモーレンジは過去にも、コート・デュ・ボーヌやマルゴー、バーガンディ(ブルゴーニュ)の樽でフィニッシュしたアイテムも出ていますし…
もし私がビル・ラムズデン博士だとしたら「コート・デュ・ローヌ」辺りをチョイスしますが、皆さんなら何を選びますか？

来年のプライベートエディションならびにもう一つの新しい構想、今後のグレンモーレンジがとても楽しみです。

最後になりますが、とても貴重な体験をさせて下さったMHDさん、並びに私のどうでもいい質問にもきちんと答えて下さったビル・ラムズデン博士、本当にありがとうございました。

中根圭