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【新橋】【バー】カシャッサはなぜ「ピンガ」と呼ばれていたのか

【新橋】【バー】カシャッサはなぜ「ピンガ」と呼ばれていたのか

2026/08/26

【新橋】【バー】カシャッサはなぜ「ピンガ」と呼ばれていたのか

カシャッサとはブラジルで生産されているサトウキビを原料とした蒸溜酒です。日本では「カシャッサ51」などがメジャーですが、実はブラジル国内だけでも約4000銘柄が存在しています。そのカシャッサには「ピンガ」という別名があるのですが(従来の日本ではこちらの方が馴染み深い)、なぜ日本ではカシャッサをピンガと呼んでいたのか、カシャッサ・カウンシル・ジャパン主任研究員である麻生雅人さんの論文を引用した解説を皆様と共有できればと思います。

まず、基本事項として、「カシャッサ」は法律上の呼び名で、「ピンガ」は、数ある通称名・あだ名のひとつになります。ポルトガルの植民地時代から法律上は「カシャッサ」と記されています。

近年、1994年に飲料に関する法律8.918号が改めて制定され、1997年にこれを補完する政令2314号で「カシャッサ」の規定が改めて示されました。さらに、当時のエンヒッキ・カルドーゾ大統領が、カシャッサがブラジル製品であることを国際的に周知させるため、2001年に政令4.062号で、カシャッサの地理的表示(IG)を制定しました。なお1997年の法律はその後、何度も改正され、2025年の政令第12,709号でも改めてカシャッサの定義が示されています。

ピンガ、カニーニャ、ブランキーニャ、 マルヴァーダなどさまざまな名前で呼ばれていたカシャッサは、改めて法的に「カシャッサ」という名称であることが定義づけられました。ただしブラジル国内で、大量生産品とクラフトカシャッサの違いを明確に分けて論じられるなど「カシャッサ」の価値観が再評価される機運が高まるのは2000年代以降のこと。「ブラジルカシャッサ機構」が設立されたのも2006年になります。

それ以降も依然としてカシャッサは愛称としてピンガの呼び名は親しまれ続けていますが、とりわけ1990年代の時点では、ブラジルにおいても現在ほど「カシャッサ」の名称が重んじられてはいなかったと思われます。2000年以前にブラジルで生活をされていた駐在員商社マンの方々、同じく2000年以前に日本に移住された日系ブラジル人の方々はピンガの呼び名に親しまれていたと思われますので、そうした方々を通じて、1990年代の日本ではピンガの名が広く浸透していた可能性があります。

ただし、クラフトカシャッサの生産者や愛好家たちが、カシャッサの定義をSNSで繰り返し発信し続けている現状を見る限り、今なお、ブラジルにおいても、法律上の名称が「カシャッサ」で「ピンガ」はあだ名であることが、まだまだ一般的に周知されていない可能性も否めません。

さて、近年、日本で「ピンガ」より「カシャッサ」の名称が市民権を得るようになった背景には、ブラジル政府の意向を反映して駐日ブラジル大使館が「カシャッサ」のプロモーションを行っていることが大きいと考えます。2017年に、ブラジル農務省、ブラジルカシャッサ機構、駐日ブラジル大使館の協力を受けて「カシャッサ・カウンシル・ジャパン」が設立されてカシャッサを日本に広める活動を開始しておりますが、これもブラジル政府の見解に沿ったものとなります。

もう1点、あくまで主観ですが、ピンガはどちらかというとカイピリーニャの材料となる工業酒を指して呼ぶ場合が多いように思われます。特にクラフトカシャッサの生産者には、自分の製品が「ピンガ」と呼ばれることを嫌う方も少なくありません。

日本においても、1990年代にはカイピリーニャの材料としての工業製品カシャッサが主流でしたので「ピンガ」の名が親しまれていたのに対し、2010年代以降、少しずつクラフトカシャッサの人気が高まる中で、「ピンガ」との差別化も含めて「カシャッサ」の名称が広まっているという印象を持っています。

カシャッサ・ジャーナリスト
ブラジル食文化研究家
カシャッサ・カウンシル・ジャパン主任研究員

麻生雅人

▼カシャッサ・カウンシル・ジャパン

http://cachaca.jp/

▼食文化からブラジルを知るための55章

食文化からブラジルを知るための55章 - 株式会社 明石書店

▼instagram
https://www.instagram.com/massatoshiroasso/

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