ヴェルモットで「イタリアン」といえば「スィート・ヴェルモット」を指すくらい、スィート・ヴェルモットの産地として有名なイタリア。そのイタリアの中でも、「チンザノ（Cinzano）社」「マルティニ（Martini）社」などの本拠地が存在するピエモンテ州トリノは、特にメッカと言えるでしょう。
そのトリノに本拠地を置き、「キング・オブ・ヴェルモット」とも謳われるスウィート・ベルモットがあります。「ジュゼッペ・B・カルパノ（Guiseppe B Carpano）社」の「アンティカ・フォーミュラ（Antica Formula）」です。

「アンティカ・フォーミュラ」とは「昔ながらの形式」という意味です。
1786年にアントニオ・ベネデット・カルパノ(Antonio Benedetto Carpano)氏が、「白ワインにスピリッツを加え、30種類以上のハーブやスパイスを浸漬し、タンクの中で1～2年熟成させる」という製法を考案し、カステロ広場の店舗で売り出します。このヴェルモットは、製造に時間がかかり少量しか生産できないにもかかわらず大好評で、店舗の24時間営業を余儀なくされるほどの人気を博しました。

アントニオ氏が亡くなると、甥のジュゼッペ・ベルナルディオ・カルパノ（Guiseppe Bernardino Carpano）氏が、このレシピと製法を引き継ぎ、1847年、商標と特許を取得します。

その後、工場を拡張したり、その工場のほとんどが第二次世界大戦の爆撃で破壊されたりと、紆余曲折を経て現在に至りますが、その間も、秘伝のレシピと製法を守り抜いてきました。そのため21世紀になった現在でも、少量生産しかできず、その証として、ラベルには通しナンバーが刻印されています。

苦みと甘さのコントラスト、コクとキレのバランス、様々なスパイスとハーブの味わいと香りが織りなすハーモニー、すべてを兼ね備えた奥深いヴェルモット、「アンティカ・フォーミュラ」。古典的な味わいに、古の思いを馳せながら楽しんでみてはいかがですか？