初心に帰って。
2012/01/23
私が始めて働いた「バー」である、大手町の「パレスホテル」が、今年5月、「パレスホテル東京」としてリニューアルオープンいたします。これを機に、私自身が初心に変える意味も込めて、当店のジン・フィズを「會館スタイル」にいたしました。
ジン・フィズ(Gin Fizz)は、1888年、ニューオーリンズのヘンリー・ラモス氏が初めて作ったとされています。ジンとレモンジュースと甘味(砂糖やシロップ等)をシェークしてソーダで満たすという、ごくごくシンプルなカクテルです。その昔は最もポピュラーなカクテルだったので、「バーテンダーの腕を確かめるには、ジン・フィズを…」と言われていたとか。ちなみにフィズ (fizz) とは、ソーダ水の泡のはじける「シャーッ」という音を表す擬音語だそうです。
私がパレスホテルでバーに配属されて、最初に教えていただいたジン・フィズは、通常のジン・フィズに牛乳を少量入れる、「會館スタイル」のジン・フィズ(いわゆる「モーニング・フィズ」です。)でした。パレスホテル開業時の初代チーフ・バーテンダーである、「Mr. マティーニ」こと今井 清 氏は、日比谷の東京會舘のご出身です。東京會舘は終戦当時、アメリカ占領軍の将校クラブとして接収されていました。将校が昼間の明るいうちからこっそりとアルコールを飲むためからなのか、東京會舘では牛乳入りのジン・フィズが提供されていたようです。以来、牛乳入りのジン・フィズを、「會舘フィズ」、「ジン・フィズ“會舘スタイル”」と呼ぶようになります。今井氏は、その当時のレシピを受け継ぎ、パレスホテルのジン・フィズにも牛乳を入れていたそうです。
この牛乳入りのジン・フィズは意外と難しく、バーテンダーになりたての当初、レモンの酸で牛乳の脂肪分が固まり、ソーダを入れて泡が溢れだしてしまったことを今でも覚えております。
ジン独特の臭みも消え、まろやかで優しい味わいの“會舘スタイル”のジン・フィズ、是非お楽しみください。
¥850
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Bar Atrium en
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