当時の世界最速船~カティー・サーク
2013/12/02
ハスキーな声で唸るように「カティ~サーク♪」と歌う、ウィスキーのCMを見たことがある方は多いと思います。
「カティー・サーク(Cutty Sark)」とは、ゲール語で「短いシミーズ」という意味で、そもそもは19世紀に建造されたイギリスの高速帆船の名前です。カーティー・サーク号は「クィーン・オブ・オーシャン(海の女王)」と呼ばれ、当時の世界最速を誇り、東洋からイギリスまで紅茶を輸送する「ティー・クリッパー」として大活躍しておりました。スエズ運河の開通により、「ティークリッパー」が終焉を迎えると、今度はオーストラリアから羊毛を運ぶ「ウール・クリッパー」として大活躍し、1887年に記録したオーストラリア―イギリス69日間という記録はいまだ破られておらず、イギリス海洋史における金字塔となっているそうです。
その世界最速帆船の名前が、なぜウィスキーについたのかは、今から90年ほど遡ります。
1923年、ワイン商「ベリー・ブラザーズ&ラッド社」の経営者の一人であるフランシス・ベリー氏は、過度のカラメル着色をせず、淡い自然な色と味わいを持つライトタイプのまったく新しいウィスキー開発し、禁酒法の時代が終わろうとしていたアメリカという新市場に送り込もうと考えていました。 その1年ほど前、ポルトガル船籍となって第一線から退いていたカティー・サーク号が、イギリス人船長ウィルフレッド・ドウマン ( Wilfred Dowman ) 氏によって、ポルガルから買戻され、ロンドンに戻ってきており、巷はその話題で賑わっていました。
英国における帆船は「発見」と「冒険」、そして帝国時代を象徴するもので、中でも、「クィーン・オブ・オーシャン」と呼ばれ、世界最速を誇っていたカティサーク号は、歴史的で冒険心に富んだイメージそのもので、まさに彼らが目指す新しいウィスキーの名にピッタリだったのです。
「カティー・サーク」と名付けられたウィスキーは、イギリスで発売されるや否や、バハマのエージェントを経由して禁酒法下の米国に大量に持ち込まれ、全世界でその名を知られるほどのビッグブランドとなり、世界のスコッチ・ウィスキーの中で、ベスト10に数えられる販売量を誇るまでになりました。
その後のカティー・サーク号は、1954年、テムズ川に面するグリニッジに移され、保存展示されるようになり、1957年6月からは、内部も一般公開されロンドン市民に親しまれるようになります。
2006年11月からは大規模な修複が行われておりましたが、2007年5月21日、火災により鋳鉄製のフレームを残して多くの木製構造部分を焼失。しかし、幸いなことに分解修理中で、主要な部分は別の場所で修繕されていたため、修復作業が再開され、2012年4月25日、一般公開が再開しました。現在では、入場料を払えば船内や甲板だけでなく、船底を下から見上げることが出来るように展示されているそうです。
ちなみに画像にあるボトルは、2013年2月7日に発売された「カティー・サーク(Cutty Srak)」のニューアイテム、「カティー・サーク ストーム(Cutty Sark Strom)」です。
帆船なのに「ストーム(嵐)」のネーミングはちょっと「?」な気もしますが、それはさて置き、「オリジナルの「カティー・サーク」に比べ、「マッカラン」や「ハイランドパーク」などのシングルモルトの含有比率が高く、また、熟成年数が長いことから、甘く熟した桃やクリームのような味わいとリッチで甘い香りが楽しめる1本となっています。
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