バランタイン17年　スキャパエディション

去る8月21日、3,000本限定で、「バランタイン17年　スキャパエディション」が発売されました。
「バランタイン（Ballantain）」は、スコットランドのハイランド（島も含む）、ローランド、スペイサイド、アイラの4つの地方の厳選されたモルト原酒、グレーン原酒を40種類以上使用し、バランスのとれた優雅な香りと味わいが特徴の、スコッチを代表するブレンデッド・ウィスキーです。

今回限定発売された『バランタイン17年　スキャパエディション』は、マスターブレンダーであるサンディー・ヒスロップ氏が、「バランタイン17年」のキーモルト原酒のひとつ「スキャパ」のフルーティで花のような香りを最大限に浮かび上がらせるように、ブレンドレシピを見直したものです。数々のモルト原酒とグレーン原酒が織りなすバランスを身上とするブレンデッド・ウィスキーでは、ひとつのモルト原酒だけを特化させることは今までになく、とても画期的な試みでしょう。

色は澄んだ黄金色です。香りは、フルーティかつフローラルで、甘く華やいだ香りと繊細で滑らかな香りがバランスよく折り重なっています。味わいは、スキャパ由来のオレンジやピーチを想わせる爽やかな甘さから、ハチミツのようなまったりとした甘さへと変化していき、最終的にはナッツのような香ばしい甘さへと落ち着きますが、時折ピリッとしたスパイシーさも顔を出し複雑です。余韻は長めで、全体的にバニラのような甘さが続きますが、かすかに潮の香などが愉しめます。

新しい試みのブレンデッド・ウィスキー、『バランタイン17年　スキャパエディション』。私はかなり完成度が高いと感じました。もしかすると今後、この出来栄えに味をしめたサンディー・ヒスロップ氏が「ミルトンダフエディション」「ロングモーンエディション」「アードベッグエディション」なるものを作るかもしれません。この試みが、ブレンデッド・ウィスキーの新境地となり得るかどうか、皆さんも考察してみてください。

￥1,200

 

スキャパ蒸留所（Scapa Distillery）

大ブリテン島の北、北海に浮かぶオークニー諸島の一番大きな島メインランド。その島のスキャパ湾を望む高台にスキャパ蒸留所はあります。「スキャパ」とはノース語（ヴァイキングの言語）で「貝床」（オイスター・ベッド）を意味します。
スキャパは、アイランズ・モルトにしては珍しく、ノン・ピーテッド麦芽を使用していますが、仕込み水に使用しているリングロ・バーンと呼ばれる小川にはたくさんのピートが含まれているため、ピートの香りと味わいがあります。また、スキャパの樽貯蔵庫は海の近くにあり、庫内には磯の香りが充満しています。そのため、微かな潮の風味やドライな後味という特徴が生まれます。ポットスチルは2基あり、中でも初溜釜は、現在ではめったに見られなくなったユニークな形のローモンド・スチルです。この蒸留釜はネックの部分が円筒形で、その中に無数の穴が開けられた３段の仕切板があり、連続式蒸留器と似たような仕組みになっており、油のようにとろりとした蒸留液を生みだします。

1885年以来変わらない、独特の仕込みの水と島の風、ユニークな蒸留釜と熟練した技、これらすべてがスキャパのエレガントさを紡ぎだしています。